樹脂スペーサーは思っているよりも大切です。【窓・高断熱】
こんにちは。こんばんは。おはようございます。くろーばーです。
前回の記事では積水ハウスをディスるような記事で、積水ハウス推しの方には申し訳ありません。
ハウスメーカーの王者なので、よく代表してお名前を挙げさせてもらっています。注文住宅の代名詞ということで、とくに積水ハウスユーザーの方にはお許し頂きたく。
夏涼しく、冬暖かい家にするには高断熱の家にすることが大切だということは、一般の方にも広く知られるようになってきました。
高断熱って聞くと、断熱材を思い浮かべますよね。
家は壁や、天井(屋根)、床(基礎)に覆われています。で、それぞれ壁、天井(屋根)、床(基礎)にそれぞれ断熱材を入れています。
なので、ここは断熱材が薄くなければ、しっかり断熱されているわけですね。
で、家の断熱で弱いところがあります。それが窓です。断熱的に窓というのは、家にぽっかり空いた穴という感じです。
だから、窓に近づくと夏は暑いし、冬は寒いですよね。また、冬場は結露でビシャビシャになっていることも多い。
窓が壁などと比べて断熱的に弱いことが分かりますね。
で、窓に結露ができる場所ってあるのですが、一番結露しやすいのは窓のどこでしょうか。
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正解は、窓のサッシと呼ばれる場所です。
サッシは窓のガラスを挟み込んだり、ガラスを動かしたりするために必要な物です。ガラスはそこそこ重みもありますから、一定の強度も必要です。
そのため日本のサッシのほとんどはアルミで作られてきました。金属で強度もあり、劣化もしづらいアルミは窓のサッシの主力素材として数十年、使われてきました。
一方で、アルミは熱を伝えやすいという性質を持ちます。金属ですから当たり前ですよね。ちなみに、同じ金属の鉄の2.5倍も熱を伝えます。
そのため、家の外の暑さや寒さを、すごい勢いで家の中に入れてしまうわけですね。
ちなみに熱の伝えやすさでいうと、1位がダイヤモンド、2位が銀、3位が銅、4位が金、5位がアルミニウムとなっています。
さすがにダイヤモンドや金は高価すぎて使えませんし、銅は腐食(酸化)してしまいます。劣化に強く強度があるアルミが使われるのもうなづける話です。
ですが、逆にフライパンや鍋などをイメージしてもらうと分かりやすいですが、コンロの熱を食材に伝えやすいから使われる素材なわけで、これを家の内外の間にある窓サッシに用いると、とんでもない勢いで暑さ・寒さが家の中に入ってくるわけです。
で、じゃあどうするのか、という事で、これもフライパンをイメージしてもらうと分かりやすいですね。
熱いフライパンをどうやって持つのか。持ち手の部分を考えると、そう。樹脂ですね。
樹脂はカンタンにいうとプラスティックです。(窓のサッシはPVCなので少し異なりますが、まずはイメージということで)
樹脂の熱の伝えにくさがあるから、人間は熱したフライパンを持つことができる訳ですね。
100℃、200℃にまで熱したフライパンでも、たった数mmの樹脂があるだけで持つことが出来るのですから、樹脂の熱の伝えにくさはすごい物です。
どれぐらい熱を伝えないかと言えば、アルミニウムの1100倍ほどです。圧倒的ですね。こうした暑さ、寒さを伝えにくい樹脂を窓に使ったものが樹脂サッシというわけです。
当然、これまでのアルミサッシとはちがい、冬場の結露もかなり抑えられます。このブログでも長らく書き続けてきた通り、窓は樹脂サッシを採用されると良いですね。
で、次に気を付けたいのが、窓のスペーサーと呼ばれる部分です。
これ、結構忘れがちなんですよね。
窓のスペーサーとは、ガラスとガラスの間に入れる部材です。
近年の窓はペアガラス(2枚ガラス)が普通です。性能の高い窓だとトリプルガラス(3枚ガラス)にもなります。
そのガラスとガラスの間にスペーサーという部材を挟むことで、ガラス間の空間(スペース)を確保しています。ガラス同士が接触すると割れますからね。
だからスペーサーは大切なのですが、このスペーサーの素材も大事。住宅会社が断熱に意識が向いていないと、スペーサーもアルミ製のものが用いられます。
サッシと同じく、アルミはよく熱を伝えてしまてしまいます。
なので、窓を選ぶ際はスペーサーも樹脂になっている樹脂スペーサーを選ぶようにしてください。
断熱性能を表す数値にUa値というものがあります。
窓を高性能なものにしたり、断熱材を分厚く施工したりすると、このUa値は良くなっていきます。
Uは断熱性能、aはアベレージ(平均値)のことです。つまりUa値とは家全体の断熱性の平均値なわけです。
で、この家のUa値は〇〇だから高断熱っていう言い方もできるのですが、あくまでUa値は平均値。家の中の断熱性のバランスがとれているかは分かりません。
とくに、この窓のスペーサーは家の断熱の一番の弱点になる窓サッシに多大な影響を与えます。
先述の通り、家の中で最も結露が起きるのは窓サッシの下枠です。スペーサーがこのサッシ下枠に伝える熱(冷たさ)の影響は非常に大きなものです。
家一軒の窓をすべて樹脂スペーサーにしても、断熱性を表すUa値は0.1も変わりませんが、結露するかどうかは大きく変わります。
信頼度バツグンの三井ホーム施主ブロガーの、さとるパパさんのブログ記事に、ちょうどその辺りがアップされているので、良ければ参考にして下さい。
さとるパパさんの記事にも書かれている通り、家全体の、あるいは、窓全体の断熱性能は大きく変わりませんが、スペーサーを樹脂にすることは非常に大切です。
なぜそれほど大事かと言うと、スペーサーが樹脂か、アルミかで、ちょうど窓サッシが結露するかの分岐点になりやすいからです。
そもそも結露するかどうかは、温度と湿度によって決まっています。
設定条件として覚えやすいのが、
外気温0℃。
室温が20℃。
湿度が50%。
のときに、結露するかどうかは窓の表面温度が9.3℃以下になるときです。
この条件のときに、窓サッシはスペーサーがアルミのとき9℃。樹脂スペーサーのとき11℃ほどになります。
つまり、アルミスペーサーは結露し、樹脂スペーサーは結露しない分岐点にあるということです。
外気温が0℃って、日本で一番人口が多い6地域(東京とか大阪などの気候の地域)の、ちょうど冬の気温です。
しかも、室温は20℃ってありますが、20℃って結構寒いです。
コタツに入ってるとか、目の前にストーブがあるとか、布団に入っているなどなら良いですが、一般的には室温20℃だと寒いと感じられる方が大半です。
多くの方がだいたい23℃前後に快適性を感じられます。そうすると、さらに結露リスクは高まります。
さらに加えて、ここにカーテンを閉めていると、窓の表面温度が下がる上に、窓とカーテンの間の空気が滞留しやすいので、さらに結露しやすくなります。
湿度50%っていうのは、低性能な家では中々、ここまで加湿するのは難しいです。加湿器を数台でガンガンに加湿しないといけません。
湿度の意味では結露リスクは下がりますが、逆に言うと、部屋が乾燥するわけです。とくに冬場は乾燥しやすいので、喉をいためやすい。
だからインフルエンザが流行りやすいわけですね。
湿度が低いということは窓の結露リスクは下がりますが、健康リスクが高まるという訳です。
で、ここで注目して欲しいのは、窓サッシやスペーサーをアルミ製にしていると、結露させないためには、室温を下げたり、湿度を下げたりしないといけないということです。
つまり、温度・湿度を下げて、結露から逃れるか。
あるいは、温度・湿度を上げて、結露するか。
つまり、言い換えると。
風邪やインフルエンザにかかりやすい状況にするか。
あるいは、窓を結露させて、拭き掃除の手間を増やし、カビを増やし、家の壁を腐りやすくするか。
という事になります。どちらを選んだとしても、健康や快適性や、家の耐久性に問題が生じます。
アルミのサッシやスペーサーを選んだ時点で、このような結末が、家に住み続ける限り、何十年も(一生?)続くわけですね。
窓は、樹脂サッシという事だけでなく、この樹脂スペーサーも大切です。さほど高額なものではありません。
住宅会社によって異なると思いますが、ざっくり家一軒のすべての窓を樹脂スペーサーにしても5万円ほどです。
ただ、残念ながら樹脂スペーサーを採用しにくい地域があります。いわゆる防火地域という場所です。駅から近い場所や、住宅密集地などですね。
防火措置をとる必要から、土地条件にもよりますが樹脂スペーサーにすることができません。
この防火仕様を避けて、樹脂スペーサーを採用する方法について、また別記事を書きたいと思います。
私が住む大阪は人口が多い県ですし、面積も日本で2番目に狭い。狭小地が多い土地なので、防火地域も非常に多いです。
他県でも都市部や、駅近の立地では防火地域が多いですから、参考にしてもらえれば幸いです。