新築マイホームの断熱性能はG2.5グレードを目指すべき!?
こんにちは。こんばんは。おはようございます。くろーばーです。
高断熱なマイホームは快適だ。
ということが、たくさんの発信のおかげで、多くの人に知られるようになってきました。いまや高断熱を自称しない住宅会社はないぐらいです。(本当に高断熱な会社かはさて置くとして(^^;)
じゃあ、どのぐらいのレベルの断熱にすれば良いの?って、誰しもが思いますよね。
こういうお題って、程度問題なので中々むずかしい問題だと思うのですが、温熱設計の第一人者のお一人である兵庫県の松尾先生は、次のようなキーワードを提唱されるようになりました。
それが、「G2.5」っていう言葉ですね。
下の動画でもG2.5のフレーズを紹介されています。
松尾先生と語る!HEAT20 G2.5!? 高性能住宅って、どのくらいの性能が必要なのか?
松尾先生はキャッチーな言葉を作って分かりやすく解説してくれていますが、たぶん温熱について勉強している私のような素人たちにも、肌感覚で分かるところだなとストンと落ちてきます。
数年前に、heat20のG1,G2。
そして、近年、G3という断熱のグレードが定められました。今年は、それに基づいて(?)国が断熱等級という制度を定めました。
G1グレードは、積水ハウスやダイワハウス、ヘーベルハウス・・・といった大手ハウスメーカーの断熱性能をイメージで、おおよそ合っています。
G2グレードは、かなり断熱にこだわっている家ですね。窓が樹脂サッシであったり、屋根(天井)の断熱が分厚かったりという感じです。
G3グレードとなると、日本でも有数の「超」高断熱という言葉がピッタリな断熱性能です。大手で言えば、一条工務店の上位商品であったり、一部のスーパー工務店だけが可能なレベルの家です。
断熱性能は、Ua値やQ値で表すことが出来ます。現在、一般的にはUa値で表します。
日本は北海道から沖縄まで気候が全然ちがってくるので、その地域の気候によって、同じUa値でも、評価される断熱グレードは異なってきます。
こういう感じですね。
同じ断熱性能(Ua値)であっても、大阪ではG3グレードであっても、北海道ではG1グレードになる、みたいな事ですね。
なので、地域によってグレードに求められるUa値は変わってくるのですが、いずれにしても、G2グレードからG3グレードまで断熱性能を上げるのは中々難しい。
例えば、6地域(上記マップの濃いオレンジ色の地域)では、
G1がUa0.56
G2がUa0.46
そして、G3がUa0.26になります。
これ、発表された時、たぶんみんな感じたと思うのですが、G2からG3の間がめちゃくちゃ空いているんですよね。
また、ただ数値が離れているだけでなく、このG2からG3へ高断熱化するには、G1からG2にするよりも、費用の上がり方が大きく、一般的な収入の方には中々、達成するのが難しいレベルになっています。
数値だけ見ても、0.56→0.46とくれば、次は0.36かなと思うじゃないですか。それが急に0.26。
数値以上に、これを達成するには、高価な工法、建材が必要になってくるんですね。
なんでもそうなんですが、普及するから安く提供できるわけで、このG3グレードを達成するには、なかなかの予算が必要になり、30年とか40年住んだ時に、冷暖房費の削減だけではコストを回収することは、ちょっと難しいんですね。
なので、松尾先生がG2.5を目指していきましょう、と提言されているわけです。
もちろん快適性は上がるので、コスパではなく、快適性を求めるなら、ぜひG3グレードを目指して見てください。素敵な性能ですので!
G2.5というと、だいたいUa0.36ぐらいです。
実はコレ。ちょうど我が家の断熱性能ぐらいなんです。
一応、我が家は公称(?)Ua値0.39となっているのですが、泉北ホームが申請に使っている書類を見ると、数値が間違っているところがあり、それを実際の建材や断熱材の厚みで手計算すると、Ua値0.37ということが分かっています。
なので、おおよそG2.5の断熱性能っていう事になります。
5年前に建てた我が家の建築費用は、
家本体
付帯工事費
消費税
で、2000万強といったところです。
現在、まったく同じ仕様で建てるとすれば、2300万ほどになると思います。
G2.5は2022年の現在から、40年ほど住む家とすれば、最もコスパが良くなる住宅になる可能性が高い仕様です。
断熱仕様のイメージとすれば。
窓・・・樹脂サッシ、トリプルガラス、アルゴンガス仕様
天井(屋根)断熱・・・高性能グラスウール換算300mm
壁断熱・・・高性能グラスウール120mm(2×6工法なら140mm)
付加断熱なし。
基礎断熱・・・スタイロフォーム50mm
といった仕様で、6地域のG2.5グレードをほぼ達成できるはずです。
ここを超えてG3グレードとなると、壁の付加断熱が必須です。
天井の断熱も高性能グラスウール換算400mmクラスが必要になってきます。
400mmという非常に厚い施工であれば、屋根断熱にするのは難しくなるし、やるとすると、屋根も壁と同じように付加断熱にする必要が出てくると思います。
ここまでするとなると、コスパ的には落ちてしまうことと、建築費用的に、なかなか一般的な収入の家庭には難しいことが多くなってくると思います。
とくに6地域は大都市圏がいくつもあるので、土地代が高く、建物にかけられる予算も限られるケースが多いですからね。
もちろん、コスパだけの話ではないですし、快適性はグングン上がるので、ぜひたくさんの人にチャレンジして欲しいなと思っています(*^^*)
普及すれば安くなっていきますしね(^^)
ともあれ、このG2.5とも呼べる、現在、普及しつつある工法、建材で達成できる断熱グレードが、コスパと快適性の両立をはかれるバランスが取れた建て方だと松尾先生が言われている訳ですね。
ちなみに私が尊敬する奈良の設計士・神崎先生は、Ua0.34以下を念頭にした家づくりを勧めておられます。
わずか、0.02の違いじゃないか、と言われてしまいそうですが、想定される仕様がちょっと違うと思うんですよね。
おそらくUa0.34以下というのは、壁の付加断熱を念頭に置いた性能だと思います。
0.3点台の前半は、壁の充填断熱(一般的な壁の断熱の仕方です)だと、一般的な工法の中で壁の厚みがある2×6工法だとしても、ちょっと届かないレベルなんですよね。
この0.3点台の真ん中あたりで、付加断熱をするかどうかの境目があると思います。
もちろん付加断熱していても、他の断熱で手を抜けば・・・って話もありますけど、予算バランスを考えれば、普通はそんなことはしませんからね。
もししてたら、その住宅会社は予算や性能、快適についてのバランス感覚がずれている可能性が高いです。そういう会社も知っていますが・・・(^^;)
神崎先生が壁の付加断熱を推奨するのは、おそらく構造材の耐久性や、壁内結露の防止、気密劣化の軽減、といった観点から推奨されているのではないかなと推測しています。
(神崎先生、間違えていたらご教授ください(^^;)
わずかUa0.02の違いですが、たぶん、この辺りは何を念頭に置いているか、何を重視しているかによって変わってくるところだと思います。
とくに松尾先生は兵庫県で地域区分6地域。神崎先生は奈良県で地域区分5地域。
という地域による寒さの違いもあるでしょうから、こうした所が影響しているのかなと思います。
神崎先生も、松尾先生も、G3バンザイ、パッシブハウス万歳、高断熱ほど良いという考えではなく、いかに健康、快適、省エネ、経済的な家づくりが広まるかを大事に考えて下さっています。
なので、推奨される断熱の性能値も似たところになってくるんでしょうね。さすがです。
今から家づくりされる方は、こうした有益な情報がカンタンに手に入るようになったり、高性能な建材が普及して手に入れやすくなっているので、良い時代になりました。
円安とか、ウッドショックとか、コロナとか、逆風の部分もありますけど、求める性能について理解した上で家づくりを進めることは易しくなってきているので、しっかり勉強して良い家づくりをして欲しいなと思います。